生後半年~1歳までの間に、ネイティヴスピーカーと触れ合いながらある言語を聴くと、将来の言語の聞き取り能力に差が出るという研究結果があります。
つまり、特定の言語を習得させたいとお考えならば、大切なこの時期にネイティヴスピーカーと触れ合いながら言語を聴かせることがポイントになるのです。
お子さんを将来、英語が堪能なグローバルな人材に育てたいというご希望をお持ちのお母様も多いと思います。
そこで今回は、何故赤ちゃんの時期に英語に触れることが大切なのかをご紹介します。
■ワシントン大学教授であるパトリシア・クールの発見
こちらの動画では、赤ちゃんがどのように言語を学んでいくかという発見が紹介されています。
これによると、なんと赤ちゃんは、1歳までに訓練をすることで、あらゆる言語の音の聞き分けが出来る様になるそうです!
つまり、「赤ちゃんは、語学の天才」なのです。
・赤ちゃんは「音の統計」を取っている
生後半年を過ぎると、赤ちゃんのコミュニケーションの手段が広がり、赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しむお母様も多いと思います。
実はこの生後8ヶ月~10ヶ月前後の間に、赤ちゃんは周りの人の話を聞きながら、理解すべき「音の統計」を取っているそうです。
そしてこの2ヶ月の間に、母国語と同時並行で母国語以外にも言語環境を与えてあげると、赤ちゃんはその言語も聞き取りを出来る様になります。
ここで大切なポイントは、この現象が本物の人間を目の前にし、対面で行われる第二言語環境によって効果が発揮されることです。
つまり音声やビデオの映像では全く効果が無く、赤ちゃんに直接話しかけることで言語を習得することが出来るのです。
会話による意思の疎通が難しい赤ちゃんの段階から、赤ちゃんが「共認存在」という事が判る発見です。
<言語を習得する「臨界期」とは>
愛らしい赤ちゃんの姿は、私たちに安らぎと喜びそして明日の活力を与えてくれる大切な存在ですよね。
実はこの赤ちゃんの小さな脳の中を、最新の科学装置で分析してみると、驚くべき事が起きていることが判ってきました。
・絶滅の危機に瀕する言語「コロ語」とは
2010年にニュースで取り上げられた、インドの山岳地帯で使われている「コロ語」と呼ばれる言語は、使用者が僅か800人しか居ないそうです。
コロ語は他の少数言語と同様に文字が存在せず、口頭で継承されてきました。
消滅の危機に瀕しているこの言語は、ママから赤ちゃんへの語りかけによって伝えられているのです。
何故、赤ちゃんではなく大人では、口頭で言語を伝えそれを守ることが出来ないのでしょうか?
その鍵は、言語習得の「臨界期」にあるとされています。
・何故大人では外国語の音が聞き分けられないのか?
赤ちゃんはあらゆる言語の音の聞き分けをすることが可能です。
自国の言葉ではなく、世界中どの言語の言葉でも、どの国の言葉でも聞き分けることが出来ます。
これは、大人には無い赤ちゃんだけの特性と言えます。
では何故大人では、外国語の音の聞き分けをすることが出来ないのでしょうか?
<発達における最初の「臨界期」とは>
赤ちゃんが、自分の言語で使われている音を習得する時期を「最初の臨界期」と、パトリシア・クールは定義しています。
研究によると、「1歳の誕生日を迎える前に、赤ちゃんに大きな変化が起きる」そうです。
赤ちゃんは生まれた当初は、どの言語も聞き分けられる、いわば「世界市民」です。
けれども大人になってしまうと、外国の音を聞き分けることが出来なくなってしまいます。
そのターニングポイントが、生後6ヶ月~生後8ヶ月なのです。
パトリシア・クールは、東京とシアトルの赤ちゃんに、「ra」と「la」の聞き分けのテストを行いました。
英語では「r」と「l」の区別は重要ですが、日本語では重要視されませんよね。
生後6~8ヶ月の赤ちゃんのケースでは、結果に違いは見られませんでした。
けれども、2ヶ月後の生後8ヶ月~生後10ヶ月では、驚くべき変化が観測されました。
なんとシアトルの赤ちゃんは成績が良くなり、日本の赤ちゃんは成績が悪くなってしまったのです。
けれども、どちらの赤ちゃんも、自分の言語を習得する準備を行っています。
この2ヶ月の間に、赤ちゃんの脳の中ではどんな変化が起きているのでしょうか?
・赤ちゃんの脳内では、言語の統計処理がなされている
私たちが語りかけた時、赤ちゃんは熱心に私たちの言葉に耳を傾け、私たちの話す声を脳内で統計処理しているのです。
お母様が話しかけても、お父様が話しかけても。
誰かから発せられた言葉を、赤ちゃんが聞いた時には、赤ちゃんの脳内では言語の統計処理がなされています。
そして赤ちゃんは、この統計に対して敏感で、その上英語と日本語ではこの統計は大きく異なります。
先ほどの実験のように、英語では「r」と「l」の分布が大きく現れますが、日本語では、「r」と「l」の中間の音が見られます。
赤ちゃんはこのようにして言葉の統計をとり、それを吸収して脳を変化させるのです。
大人は脳を変化させてしまったので、私たちが赤ちゃんの頃に取った統計の記憶に支配され、文化に縛られた聴き手に変化してしまっています。
大人になってからの言語習得は、数学的な観点から見て、分布の安定に伴って、言語の学習がゆっくりになるのではないかとパトリシア・クールは見ています。
・ではバイリンガルな人の脳内はどうなっているのでしょうか?
パトリシア・クールはバイリンガルな人の脳の構造について、2つの統計セットを保持しており、それを必要に応じて切り替えているのではないかと考えました。
そこで、赤ちゃんは新しい言語に対して、統計処理をすることができるのか実験しました。
母国語以外に接したことが無いアメリカの赤ちゃんに、第2言語として臨界期に初めて中国語に触れさせることにしたのです。
生後6~8ヶ月では際だった違いは生まれませんでしたが、2ヶ月経つと大きな変化を見ることが出来ました。
中国語を話している親戚が、1ヶ月程度家に滞在したように、赤ちゃんに中国語で話しかけるセッションを12回行いました。
その結果、12回に渡って中国語に接した赤ちゃんは、生まれてから10ヶ月半中国語に触れてきた台湾の赤ちゃんに劣らない、良い成績を残したのです。
このことから、赤ちゃんは新たな言語に対しても、統計処理を行うということが判ります。
つまり、どんな言語であっても、赤ちゃんは接した言語の統計処理を行うのです。
・赤ちゃんが統計処理を行う為に必要な物
それでは、赤ちゃんに定期的に多言語に触れる経験をさせるだけで、第2言語を習得できるのでしょうか?
実はパトリシア・クールは、人間の果たしている役割についても実験を行っています。
1つのグループには、先ほどの実験と同様の12回のセッションをテレビで行い、もう1つのグループには、クマのぬいぐるみの映像で音声のみのセッションを行ってみました。
その結果、赤ちゃんの脳にはどんな違いが現れたのでしょうか?
なんと音声のみの場合には、学習効果は全く現れませんでした。
その上、ビデオの場合にも、学習効果は全く現れません。
つまり、赤ちゃんが統計処理を行う為には、本物の人間が触れ合うことが必要なのです。
■お子さんをバイリンガルに育てるためには
パトリシア・クールの研究結果をご紹介しましたが如何でしたでしょうか?
赤ちゃんの言語取得のためには、
・1歳の誕生日を迎える前
・ネイディヴの人間とのコミュニケーション
という2つの大切なポイントがおわかり頂けたと思います。
グローバル化社会に向けた様々な取り組みが進む中、京都大学では英語の授業を2020年までに3割に引き上げることを目標に掲げ、「大学入試にTOEFLを義務づけてはどうか?」という議論が起きています。
お子さんの将来を考えた時、赤ちゃんの時期に適切な環境を用意することは、親のしてあげられる重要なプレゼントです。
親御さんがネイティヴなご家庭は、日本ではまだ珍しいと言えます。
お子さんの語学教育をお考えならば、是非臨界期を迎える前にネイティヴスピーカーと触れ合う機会を作ってあげましょう。
■リングスティック ジーニアス声感トレーニング
お子さんをバイリンガルに育てたいとお考えの親御さんに、是非知って頂きたい赤ちゃん向けのレッスンがあります。
赤ちゃんの臨界期に注目して制作された日本初のプログラムです!!
「リングスティック ジーニアス声感トレーニング」は、パトリシア・クールの研究で判明した赤ちゃんの臨界期に注目し、制作された、赤ちゃんのための語学プログラムです。
生後6ヶ月~10ヶ月の間に、わずか数時間のトレーニングを一回受講するだけで、将来の語学学習に大きな差が生まれます。